「ベルリンうわの空」が最高だからみんな読もう

本・漫画・映画

さいきん、存在は知っていたんだけれど、今まで読んだことがなかった香山哲さんの「ベルリンうわの空」という漫画を読みました。

本作は「このマンガがすごい!20XX年」とか「ナントカカントカ漫画賞」みたいなものにもノミネートされています。

わざわざ私が紹介するまでもなく多くの人に知られている作品ではあるのですが、もしまだ読んだことがない人がいたらぜひ読んでほしいです(ebook japanで冒頭の数ページが試し読みできます※2022年1月現在)。

あらすじとか

マンガの内容をざっくり説明すると、ドイツの首都・ベルリンに移住した作者の生活をゆるく描いたエッセイマンガです。

第1話は以下のモノローグからはじまります。

「ドイツ首都 ベルリン ベルリンといえば壁…

 ビールやソーセージ…

 他にもまだまだ 様々な文化や様々な人々。

 パリや東京ともならぶ国際都市だ。

 今日も忙しくいろんなことが起こってる。

 そんな街で僕は…ちょっと言いにくいんだけど 僕は…

 あんまり何もしていない!」

ベルリンうわの空

全3巻を通しても、これぞ!というできごとはないんだけれど、ベルリンに実際に住んでいる人じゃないと描けないようなエピソードが盛りだくさんで、とても面白いです。海外旅行に行けないのでこういう漫画は癒されますね。

国際都市ベルリンに住んでいるのにも関わらず(?)スーパーマーケットの商品を見るのが楽しいとか、無造作に貼られているステッカーに惹かれるとか、キラキラしていないところが心地よくって、「わかるわかる」って感じで一気に引き込まれました。

キャラクターデザインが素晴らしいんだよ

「ベルリンうわの空」は絵がとっても可愛いです。最高ポイント。

登場するキャラクターのデザインも個性的で、首から下は人間なんだけれど、上は動物だったり、植物だったり、長靴だったり、とにかく見た目がユニーク。(こういうキャラクターを異形頭というそうですね。)

かなりヒトっぽい形のキャラもいれば、ほとんど未確認生物みたいな形のキャラも登場して、普通に主人公と会話している。

いろいろなタイプの人物が登場するのですが、そこが性別とか国籍とか関係なしに。ベルリンに住む人々が、それぞれの考え方で、それぞれ生活しているように思えて良いなってなりました。

たとえモブキャラだとしても、誰ひとりとして同じ見た目の人物がいないので、画面をスミズミまで楽しめます。

エッセイマンガでこういう描きかたをしている作品は珍しいと思う。
自分的には、けっこう衝撃でした。「あ、そういうの、アリなんだ」みたいな。
本来、マンガって自由であるはずなのに、自分の中で固定観念があったことに気付きました。

ゆるすぎる会話が良いのよ

そしてこの漫画、会話の描写がとにかく多いんです。

「コーヒー飲める?」「はい、ありがとうございます」「豆乳だけど、よかったら」「あ、じゃあ適当にぜひ」「どうぞ」「いただきます!」

というかんじで、正直なくてもいいようなキャラクター同士の会話が赤裸々に描かれています。

「レシートください」「オッケー」とかね。ゆるくてすごくいい。

読み進むにつれて自分も実際にその場にいるような感覚になってくるんですよ。もちろんわたしはベルリンに行ったことはないんだけれど、外国にいったときに感じる空気感が思い起こされて、匂いまで漂ってくるような……。

こういうマンガをもっと読みたいね

わたしは他人に対して尊敬しすぎないようにしているので、いわゆるロールモデルとなる人物が今までいなかったんです。でも、この漫画の主人公(=作者)のような生き方とか考え方はすごく参考にしたいと思いました。

たとえば、わたしがすごくビックリしたセリフがあって……。

それが「1億円拾ったら何に寄付しようかな」という主人公が何気なくポツリとつぶやいたセリフ。

私はこのセリフに対して、「誠実な人間ってこういう思考になるんだ!」と雷に打たれたような衝撃を受けました。この人はちゃんとした大人だ!と。

クソみたいな世界で生きていくのはたまに嫌になるけれど、クソな世界でもどうすればより良くできるのか、自分で考えて実際に行動しているのが単純にカッコイイと思いました。

同時に、こういう誠実な人に対して憧れる感情が自分にまだあったことに驚いたんだよね(笑)

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2巻では、ホームレスのために無料のシャワールームを設営するというエピソードがあります。カフェで知り合った人たちと協力し合って、「無理のない範囲で」運営していく、というお話。

登場人物を自分に置き換えて、道徳な選択を疑似体験できてすごく良かったです。なんかいいことしたくなってコンビニで募金とかするようになった。

とにかく、作者が言わんとしているのは、誰でもどんな状況でも、行動次第でコミュニティや逃げ場や、人のやさしさや、自分の居場所を見つけ出せるということなんじゃないかな、と。

「大人になってから自分のためにお金と時間をかけるのは嬉しい気持ちだな。学べたことも幸せだけど自分を学ばせてあげられたことも幸せだった。自分を伸ばしたり、支えてあげることができた気がして…こういう心持ち、大事にして生きていきたい」

いきなりすみませんこれは3巻のグッときたセリフです。自分も英語の勉強がんばろう……。

みんな読もう

あんまり詳しく書いちゃうと読書の楽しみが台無しでしょ。この辺で終わります。とてもいい作品だからきっとおもしろく読めるはずです。

本当は全3巻じゃなくて8000巻くらい続いてほしいです。

売り上げが伸びたら続きが出るかもしれないじゃないですか。

だから期待をこめて紹介してみました。あと、最近会う人全員に布教してる。みんな買おう。

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